冷めない熱で溶かして、それから。


「そういえば今日は先輩がリードしてくれるって言ってましたよね」

「え……それは料理に関することで」
「今日一日ってことじゃないんですか?」


 松野くんは意地の悪い笑みを浮かべる。
 これは……もう逃げられそうにない。


「たまには先輩からされるのも良いですね」

 そ、それって……私からキスしろってこと?
 そんなのハードルが高すぎるよ……!


「む、無理だよ……」
「目、閉じてますから」

 松野くんはキスされる準備が万端のようで、本当に目を閉じてしまう。


「本当にしなきゃダメ……?」
「俺からだと止まらなくなりますよ」

 止まらなくなる松野くん、なんとなく想像ができる……。
 けれど私も松野くんのペースにはまり、それを受け入れてしまうのだ。


「ぜったいに目、開けない?」
「約束します」

「……じゃあ」


 クリスマスということで、今日くらいは私から……勇気を出そう。

 確かにいつも松野くんからで、私は受け身だった。
 たまには私から積極的に……!

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