冷めない熱で溶かして、それから。


 思い切って松野くんと、触れるだけのキスをする。
 思った以上に恥ずかしくて、ぶわっと顔が熱くなった。

 軽いキスだけでも、自分からすることがこんなに恥ずかしいなんて……!


「……あー」
「松野くん、目開けないでって言ったのに……!」


 声をあげた松野くんを見ると、もう目を開けていた。
 私が良いって言うまで目を閉じてて欲しかった。

 どうしよう、いますごく恥ずかしい……。


「み、見ないで……」

 慌てて顔を隠し、そう訴えたけれど。
 なぜか松野くんは私を抱きかかえて持ち上げてきた。


「まっ、松野くん⁉︎」

 突然のお姫様抱っこ状態に驚きが隠せず、大きな声をあげてしまう。

 松野くんはひと言も話さないまま、私をソファの上でおろした。


 あれ……これ、かなり危険なにおいがする……けれど。


「俺のこと、絶対に煽ってますよね?」
「へ……そんなこと」


 松野くんのスイッチが入ってしまう。
 松野くんに覆い被され、完全に逃げられない状況が完成してしまった。

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