冷めない熱で溶かして、それから。


『次は〜○○駅』

 しばらくして、私の降りる駅名がアナウンスされる。

 さっきから気になっていたけれど……同じ学校の彼、まったく起きる気配がない!

 このままだと寝過ごしてしまうかも。


 どうしよう、声をかけるべきかな?
 ここで放っておいたら、ずっと後悔してしまう気がする。


 意を決して、私は男の人に声をかけることにした。


 男の人に近づき、ようやくその顔をはっきり見ることができた。

 とても綺麗な顔。
 寝顔だけで整っているのがわかる……ではなく、早く起こさないと!


「あの、すみません……」

 まずは軽く声をかけた。
 けれど、彼に反応はない。

 心の中で失礼しますと呟き、今度は肩を軽く叩いてみる。


 そこでようやく彼の眉がピクリと動き、反応があった。


「も、もうすぐ駅に着くので……このままだと寝過ごしてしまうかもと思いまして……」

「……っせぇな」


 もう一押しだと思って再度声をかけたとき、ようやく彼の目が開いた。

 切長でくっきりとした二重の目は鋭く私を睨みつけ、『うるさい』という乱暴な言葉を口にしながら。

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