冷めない熱で溶かして、それから。
「ま、松野くん……?」
「誰も俺たちのことなんて気にしてませんよ」
なっ……この人、確信犯!
私が手を離したがっているのをわかっていて、わざと力を入れているのだ。
「離してください……!」
「寝起きって足に力が入らないんですよね」
「うそ!ちゃんと歩けてる!」
「いいじゃないですか、このままでも」
やけに上機嫌な松野くん。
寝起きは不機嫌じゃなかったの……?
手を離したいけれど、松野くんがそれを許してくれない。
どうして……こんなこと。
私の反応を見て楽しんでいる気がする。
言葉にしても聞いてくれない松野くんをじっと睨み、今度は離してほしいと念を送る。