冷めない熱で溶かして、それから。
「どうしてそんなに無理するの……?」
「無理なんてしてませんよ。そろそろ体が慣れてくる頃だと思うんで……」
「昨日こそ早く寝た?」
「はい、寝ました」
うそだ、その割に調子は良くなさそう。
松野くんは私と電車の時間を合わせるため、無理に早く起きている様子。
それなのに寝る時間は変わらないって……本当に無理しすぎだ。
「私が電車を遅らせればいいのかな……」
そうしたら松野くんはゆっくり起きれるはず。
けれど松野くんは首を横に振る。
「俺のために遅らせるなんて申し訳ないです。それに、電車を遅くした分だけ同じ学校の生徒と遭遇率が高くなるんですよ」
それはダメだと遠回しに拒否されてしまう。
確かに松野くんと一緒にいるところをあまり見られたくない。
だって松野くんは上級生にも名が知れ渡っているほど人気で有名な人らしい。