冷めない熱で溶かして、それから。







 数日後に事件は起きた。


「凪、大丈夫かなあいつ」
「最近調子悪そうだったからな」


 今日もまた、昼休みに璃花子ちゃんの付き添いで購買にやってきた。

 そのときに聞いたのは、体操着姿で購買にやってきた男の人たちの集団の会話だった。


 凪って、もしかして……?
 いや、たぶん違うよね?


 つい、凪という名前に反応してしまう。
 チラッと上履きの色を確認すると、青色だったため、不安は徐々に膨れ上がっていく。


「あ、孝之が戻ってきた」
「凪はどうだった?」

 男の人たちの会話に集中していると、私が知っている顔の男の人がその集団に紛れていった。

──津田くんだ。

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