冷めない熱で溶かして、それから。
「誰か気になるね、その先輩。いたら教えてね、あたしが文句言ってあげるから」
「そこまでしなくて大丈夫だよ……!」
さすがにそこまで求めていない。
それに相手は先輩だ、怒りを買ってしまえばそれこそ何をされるかわからない。
私のせいで璃花子ちゃんを危険な目に遭わせるなんて嫌だ。
「でも同じ電車だってことは、また会うかもしれないよね?」
「あっ……ほんとだ。だけど今まで会ったことなかったよ」
私は基本的に今日と同じ時間の電車に乗っている。
かれこれ一年半くらい経つけれど、今までその先輩と会ったことはなかった。
「それこそ謎だね」
「うん……」
「もし何かされたらすぐに言うんだよ?芽依は気弱で可愛い女の子なんだから、気をつけてね」
「そこまで子供扱いしなくても……!」
心配してくれるのは嬉しいけれど、まるで子供のように扱われている気分になる。