冷めない熱で溶かして、それから。
「……そんな顔されると、逆効果ですよ」
「え……」
それは一瞬の出来事だった。
松野くんの手が後頭部にまわされて、ぐいっと彼のもとに引き寄せられたかと思うと、そのまま……唇が重ねられた。
すぐに頭が追いつかなくて、唇が離されるまで松野くんにされるがままだった。
私……松野くんにキス、された?
「……っ‼︎どうして……わっ⁉︎」
おどろきのあまり松野くんを突き放す勢いで離れ、そのはずみで体のバランスを崩してしまう。
体が傾き、倒れる!と思ったけれど、その前に松野くんが私の腕を引っ張ってくれた。