冷めない熱で溶かして、それから。



「……っぶな」

 松野くんは私を抱き寄せる。
 突然の密着状態に、私は慌てて離れようとしたけれど、力が強くて敵わない。


「ま、松野くん……‼︎」
「ダメです、先輩があぶなっかしいんで」

「それは松野くんが……っ」


 キスなんてするから、とは口にできなかった。
 その事実だけでも恥ずかしくておかしくなりそうだ。 


「俺が、なんですか?」

 松野くんはいじわるだ。
 私の反応を確かめるように、顔を覗き込んでくる。


「……どうしてこんなこと」
「先輩がかわいいことするからですよ」

「そんなことしてない……‼︎」


 まさか松野くんも……先輩のように、私で遊んでくるなんて。

 ふと、中学の頃を思い出す。
 忘れたい記憶なのに。

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