冷めない熱で溶かして、それから。
「急になにするの⁉︎」
「先輩がこっち見てくれないから」
「だからってこんな……っ」
「こんな?」
私が顔を背けないようにか、松野くんに額をくっつけられる。
松野くんの整った顔がすぐそこにあって、視線だけでも逸らす。
自分の心臓の音がうるさい。
顔も熱くなって、ぜったいに赤くなってると思う。
心が掻き乱される。
松野くんの行動ひとつひとつに振り回される。
「あーあ、そんな顔されたら肯定だと受け取ってしまいますよ」
「え……んっ」
なんとなく、そんな気はしていた。
顔をこんなにも近づけられて、なにもせずに終わるなんて考えてはいなかった。
唇をそっと重ねられる。
優しいキスに、気づけば目を閉じて受け入れていた。