契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
──顔だけ……。失礼か?

「童顔で好みじゃないとか言われたような気が……」
 そうだ、好みじゃないとか散々言われた気がする。

「整っていることに間違いはないぞ。誰が見てもお前の顔は可愛いだろ」
 本当にやめて欲しい。
 さっきから恥ずかしくて、顔から火が出そう。

「祐輔こそ、なんでそんなに正直なの?」
「真実ほど強いものはないからだ」
 そうして、ぐっと下半身を押し付けられた。それで美冬は気づいた。

 真実……その真実、ここで証明する必要あるだろうか?
 槙野のソレがしっかりと質量を持っている。それをぐいっと美冬の下半身に押し付けられているのだ。

 無意識に顔が熱くなっていた。
 多分真っ赤なはずだ。

「へーえ? いつもイキリ倒してるくせに、そんな顔しちゃうんだ」
「イ、イキリ倒してなんかないもん。それに、そんな顔って……」
「俺が思わず(たぎ)っちゃうような顔」

 滾……っ、ホントにやだこの人。正直には程があるでしょ!?
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