契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 そう思うのに、さっきから美冬の心臓はドキドキと大きな音を立てるだけなのだ。
 もー、静まってよ!

「なあ……」
「っ、なに!?」

「本当に可愛いな」
 そんな風に言う槙野の顔が本当にとても愛おしいものを見るかのようなので、美冬はとても動揺してしまう。

「可愛いとか……思ってもないこと、言わなくて……」
「ばーか、お前可愛くもないのに勃つかよ」
また、ぐっと下半身を押し付けられて、美冬は黙る。

 くすっと槙野に笑われた。
「怖いか?」

 本当のことを言ったら怖い。
 美冬は男性を受け入れるのは初めてなのだ。
 こくっ、と頷いた。

「大丈夫。すげぇ優しくするし、美冬がもっとしたくなるくらい良くしてやるから」
「すごく、ドキドキするの……も?」
「ドキドキしてんの?」

 そう言って、いつもみたいにバカにするようにじゃなくて、すごく優しい顔でふわっと笑って、美冬の胸にその大きな手の平を置くので、どきん、としてますます心臓は鼓動を大きくした。
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