契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 園村ホールディングスもミルヴェイユほどではないけれど、確か30年ほどの歴史のある会社だ。
 そう言われれば、新規企業だけに投資しているわけでもないことが分かる。

「ベンチャーキャピタルから出資を受けた場合は借り入れとは違い、返済の義務はありません。しかもベンチャーキャピタルから出資を受けることは、その企業の事業内容やビジネスモデルが評価されていると認知され、それ自体にも価値があります」

 美冬は書類から顔をあげ、杉村の顔を見ていた。
 表情が変わる人でもないのでその心が読めるわけではないが。杉村は淡々と続けた。

「『グローバル・キャピタル・パートナーズ』という会社があります。ベンチャーキャピタルです。そこがクローズドではあるんですがコンペを行う予定です」

「『グローバル・キャピタル・パートナーズ』は知ってる。若い経営者よね? 確か。コンペ? 投資先を探しているの?」

「そうですね。何社かに声を掛けているようなんですけど、実を言うとうちにも声がかかってます。まあ、ご興味があれば……程度だったんですけど」
「ある!」

 杉村は少し驚いた。
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