契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 よく分からないけど、大きさを確認してみたり、形を確認してみたりするのに割としっかり触ってしまったかもしれない。

「美冬~~……」
 ん?

 槙野が髪をかき上げて少し赤い顔をしている。
「お前、人の大事なところを撫でまわすか!?」
「ごめん! なんか珍しくてつい……」

 ブチっと何かが切れる音がしたような気がした。それくらい槙野の表情が変わったのだ。

「要するにコレがお前の中に入るわけだな」
「え、無理」
 即答する美冬である。

「てかどこに? どこにも無理だよ?」
 知らないわけじゃない。知ってはいる。
 けれどそんな質量の物が入るなんて無理な気がしたのだ。

 美冬の上にいる槙野がにやりと笑い、美冬の下腹部の辺りをパジャマの上から手のひらで触れた。
「ここだよ」
「そんなの……無理」

「入る」
 きっぱり言われて美冬は無駄な抵抗を試みる。
「無理……」
 段々声が小さくなってしまう美冬である。
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