契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
──助けて食われるっっ!

 槙野は宣言通りに美冬の服を脱がさなかった。

 けれど、さっきから胸元はずっと舐められたり甘く噛まれたりして敏感になってしまっているし、お腹の辺りがもどかしいような感じがして足を閉じたいのに、その間に槙野がいて、閉じることもできない。

 時折触れられる下肢からは少し前から濡れたような音をさせているような気がして、美冬はいたたまれない気持ちになるのだ。

 もう目なんて開けていられなくて、美冬は先程からずっとぎゅうっと目を閉じているのである。

「美冬、目を開けろよ。な、見てみな」

 うっすらと目を開けると胸元に槙野がいて、美冬の胸の先端に舌を這わせたところだった。

 ぞくぞくっと背中を寒気にも似た快感が走って、美冬の口から堪えられない声が漏れる。

「布地が透けててすっげーエロいし、お前からは見えないけど、下も多分濡れてるぞ」
「……っや」

「もう多分直に触れても気持ちよさは変わらないと思う」

 中途半端にエロいとか言われるくらいなら、脱いでしまった方がいい。
< 116 / 325 >

この作品をシェア

pagetop