契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 もともと美冬は判断は早い方だったが、いくら何でも回答が食い気味というのはなぜなんだろうか?

 なにか理由があるように感じてそこが杉村には気になった。
 一方の美冬はとても強い決意を固めていた。

 ──この、このコンペに勝てたら……っ!社長を続けられる!!

◇◇◇

 コンペに参加したのは『ミルヴェイユ』のデザイナーである石丸諒(いしまるりょう)とマネージャーの杉村だ。
 実際、この二人は美冬の両腕なのである。

 女性向けのデザインをさせたら右に出るものはないんじゃないかと、勝手に美冬が思っている石丸諒(いしまるりょう)。彼はとても優美な見た目をしている。

 ピンクベージュに染めた髪は下手をしたらキワモノにも見えそうなのに、石丸がしていてもその品格を失うことはない。

 むしろ元からその髪色だったかのように違和感がないのは、見た目の良さがあるからだと美冬は思っている。
 まるで二次元から飛び出してきた王子様のようだ。
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