契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「別会場? どこで」
「グランドパレスよ」
 有名な一流ホテルである。

「そうか。忙しいんだな」
「それは祐輔もでしょ」

 確かにそうだ。
 お互いの忙しいことなど分かりきっていたことだし、だからこそ一緒になるのだとも言える。

「なあ、早く引っ越してこい」
「そうよね。祐輔の昨日の感じでは本当に忙しそうだし、私も時間があり余っているという訳じゃないから、ここに来ないと顔も見ないなんてことになりそうだものね」

 槙野はゾッとした顔をした。
「本当に早く引越しの日取りを決めろ。俺がすぐにでも手配するから」

 何を焦っているのだろうか。
「分かったわよ」
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