契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 実際に美冬は指輪をつけながら、槙野にも見てもらう。

 割とどうでもいいのかと思うと
「さっきのがよくないか?」
などと意見も言ってくれたりして、槙野はショッピングを一緒に楽しめる相手だということも分かった。

 美冬も気に入ったのだけれど、槙野が美冬に似合うと選んでくれたのは、センターにダイヤモンドが配置されサイドにバゲットカットのサイドストーンが付いたものだ。

 煌びやかでありながら派手すぎないデザインがいい。

「可愛いし、シンプル!」
「そうだな、美冬にも似合ってる。披露宴をするまではちゃんとつけていろよ」
「槙野様、大変恐れ入りますが……」

 担当者が言うにはオーダーのため、渡すまでに時間がかかるという話だった。完成までに二週間ほどかかるというのだ。

「まあ、そうか」
 怒るわけでもなく頷いた槙野はすぐにつけて帰れるものはあるかと尋ねる。

──え?まさか……。

 ここのブランドの指輪がとんでもない金額することは美冬はもちろん知っている。
 担当者が席を外したすきに、美冬は槙野の耳元に囁いた。
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