契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
身長は槙野より高いし、眼鏡をかけていて理知的な顔は整っているのは分かるし表情もとても温和なはずなのに、やたらに迫力のある人なのだ。
──こ、怖いっ!祐輔とは別の意味で怖いよっ。
「二人がお付き合いしていたなんて、僕は全く知らなかったんだけれど?」
その綺麗な顔で片倉は首を傾げる。
「付き合い……とかは期間はないからなぁ。お互いに条件が合った、というか」
「条件……」
槙野のその言葉を片倉は繰り返す。
美冬はあわてて口を開いた。
「確かに条件かもしれません。お互い条件的なものが合ったのは間違いないです。時間がなくて恋人を作る時間もないねー、とか」
「だから試しに付き合ってみようか? ではなくて一足飛びに婚約者になっていたわけ? 槙野が祐輔と呼ばせて、これ見よがしに指輪をつけさせて?」
すうっと眼鏡の奥の瞳が細められて空気が冷えたような気がした。
美冬は震えあがりそうだったのだが、隣の槙野からは深いため息が聞こえてきた。
「そうだよ。条件が合ったのも間違いはないが、俺は美冬に名前を呼ばせたいし、悪い虫をつけたくはないから速攻で指輪をつけさせた。それにこんなに面白くて、気も合って尊敬もできる相手はなかなかいない」
──こ、怖いっ!祐輔とは別の意味で怖いよっ。
「二人がお付き合いしていたなんて、僕は全く知らなかったんだけれど?」
その綺麗な顔で片倉は首を傾げる。
「付き合い……とかは期間はないからなぁ。お互いに条件が合った、というか」
「条件……」
槙野のその言葉を片倉は繰り返す。
美冬はあわてて口を開いた。
「確かに条件かもしれません。お互い条件的なものが合ったのは間違いないです。時間がなくて恋人を作る時間もないねー、とか」
「だから試しに付き合ってみようか? ではなくて一足飛びに婚約者になっていたわけ? 槙野が祐輔と呼ばせて、これ見よがしに指輪をつけさせて?」
すうっと眼鏡の奥の瞳が細められて空気が冷えたような気がした。
美冬は震えあがりそうだったのだが、隣の槙野からは深いため息が聞こえてきた。
「そうだよ。条件が合ったのも間違いはないが、俺は美冬に名前を呼ばせたいし、悪い虫をつけたくはないから速攻で指輪をつけさせた。それにこんなに面白くて、気も合って尊敬もできる相手はなかなかいない」