契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「うちでも継続的にコンサルティングしつつサポートしていきます。ただ、このお話はまだミルヴェイユには伝えていません。双方の合意があってからお話を進めていくので、そこはご了承頂きたい」
「もちろんだわ」

 この日はミルヴェイユと木崎社長との顔合わせを予定していた。

 その前に従前から取引のある木崎との面談を先に入れたのだ。

 プライベートな話があったのはこの時だけで、その後はビジネスの話に終始した。

 ケイエムは順調に利益を伸ばしていると聞いて安心した槙野だ。

 確かに人物に問題はあるかもしれないが、ビジネスでは信頼できる人なのは間違いはなかった。

 そこへ打ち合わせをしていた会議室のドアがノックされる。
「副社長、ミルヴェイユ様がいらっしゃいました」
「通してくれ」

 美冬は杉村と共に緊張した様子で会議室の中に入ってきた。
 オーバル型のテーブルの正面に槙野、両側に木崎と美冬たちが座る。

「椿さんご紹介します、弊社の取引先でエス・ケイ・アールの木崎社長です」
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