契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 槙野はそっと美冬の身体をベッドに降ろし、布団をかけてやった。

 甘えられたら、誤解する。
 自分に対して好意があるのではないかと勘違いしてしまう。

「俺に……甘えるな、美冬」
 甘えられたら、もう歯止めなんて効かない。



 美冬は起きていなくては!と思ったのだ。
 起きていて、ちゃんと今日は最後までするのだっ!と思っていたのだ。

 けど、思ったよりも身体が疲れていたし、槙野が勧めてくれたワインが美味しすぎた。
 美冬が甘めでさっぱりした口当たりのものがいいと言ったら、甘めでさっぱりしているワインを選んでくれて、それが美味しくて飲みすぎてしまった。

 槙野がそっとクマを外した時、お風呂から上がってきたんだな、ということは美冬はなんとなく分かった。

 だから、抱き上げてくれた槙野にきゅうっと抱きついたのだ。
 一緒にいればいるほど好きになってしまうし、美冬を大事にしてくれていると感じる。

 この人でよかったんだ……。
 そっとベッドに降ろされた時半分意識はなかったけれど、そういうことがあるならあってもいいと思ったのだ。
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