契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「ご挨拶していただけですよ。お一人でいらっしゃったし、ほら、今までは椿さんが表に出そうとなさらなかったから。ご婚約、おめでとうございます。そんな怖い顔しないでくださいよ」

「してない。悪かったな……美冬、遅くなってしまっ……」

「槙野様っ!」
 言葉が途中で止まったのは槙野の視界に大福……もとい、木崎綾奈が入ってきたからだ。周りを蹴散らしつつものすごい勢いで近寄ってくる。

「どういうことですのっ。婚約……婚約って」
「え?」

 美冬が槙野の方を見た。国東も面白そうな顔で槙野の方を見ている。

 ──ま、待て違うっ!濡れ衣だ!!
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