契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 メールを送った片倉はちっとも離れようとしないガーデンの二人を見て苦笑した。

 槙野はとても包容力があって大人な反面、時折小学校男子か!?と思うようなところがある。

 以前に見かけた二人はそんなことすら理解し合っていて、お互いを想いあっているように見えたのだ。

 一生に一度のプロポーズをあの場でオープンにしてしまう槙野も、受け入れる美冬も本当にお似合いだ。

 ガーデンから中を見る槙野と目が合った。
『はやくかえれ』
と口の動きで知らせる。

 槙野はこくりと頷いて、美冬の肩を抱いてガーデンの出口から出ていった。

 肩を抱かれつつ会場から出ることになった美冬は戸惑っていたのだった。

「本当にいいの?」
「片倉に帰れと言われた。構わない」

 車に乗るのかと思った槙野は美冬の肩を抱いたまま、一区画歩く。
 そこには非常にハイセンスな高層ホテルがあった。
 ぐいぐいと槙野は美冬をその中に連れていく。

 足を踏み入れた中は、シンプルでモダンなインテリアのロビーで、美冬は戸惑う。
< 222 / 325 >

この作品をシェア

pagetop