契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした

17.赤飯とか炊きます?

 それでも今日空いている部屋でいちばんいい部屋を準備してもらった二人だ。

 槙野が言うようにその部屋は夜景も綺麗で、部屋の雰囲気もとてもよかった。

 かなりの高層階だったので窓の外にキラキラと光る夜景が広がっているのが見える。

「わー! 綺麗ねぇ」
「うちから見えるのとそんなに変わらなくないか?」

──まあ……そうですけども。
 槙野のマンションの部屋自体が高層階なので、確かに大幅には変わらないかもしれないが。

「美冬」
「はいっ」
 ただ緊張してるのだ。少しでも時間を稼ぎたいこの気持ちを察してほしい。

 しかも、なんなのっ!その甘い声の名前の呼び方っ!

「一緒に浴びるか?」
 くっとバスルームの方を指さされて、美冬はひょえっとなる。

「ご、ごご、ごめんっ! それは無理っ! 祐輔先に行ってきて」
 ふむ……と少しだけ考えた仕草をした槙野は美冬を抱き上げた。
「ひゃんっ……」
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