契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 とても緊張するけれど、槙野のことを信じている。

 美冬が顔を上げると槙野は真剣な顔で美冬のことを見ていた。
 そっと顔が近づく。
 柔らかく唇が触れ合った。

 緩く舌を絡ませていると、美冬は背中にベッドがあたったのを感じる。
 いつの間にか押し倒されていたようだ。

 槙野が何度も何度も角度を変えて美冬の口の中をくまなくその舌で探る。

 背中を強く抱かれて、貪るように、まるで全てを自分のものにしてしまいたいと主張するようなキスだ。

「ふっ……んっ、待っ……て」
 ほとんど経験のない美冬には激しすぎるキスだ。むしろキスがこんなに官能的で激しいものだなんて思わなかった。

 舌の先端も付け根も、喉の手前も顎の下も舌で撫でられるだけで、背筋からお腹にかけてきゅん、とする。
 お互い気付いたら夢中になっていた。

 そっと唇を離すと槙野の唇が濡れている。唇だけではない。目も呼吸も吐息すら濡れている。
 きっと、自分も。

「……んっ、あ」
 少し惜しげな顔になってしまったかもしれない。
 だって美冬はもっとキスしたかったから。
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