契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「気に入った?」
「ん……」
 せがむようにすると、槙野が美冬の唇に軽く自分の唇を重ねた。

赤飯とか炊きます??
「シャワー、浴びてくる。このまま抱いてしまいそうだから。そういうのもいいけど、今日は違うだろ?」
「わ……かった」

「そんな顔すんな。俺だってすぐしたいけど、今日はバタバタしてて汗だくなんだよ。美冬初めてだろ?汗だくでは抱きたくない」
「ん……」
 こくん、と美冬は頷いた。

 槙野は身体を起こしてベッドから離れる。ジャケットを脱いでクローゼットに掛け丁寧にネクタイを外し、カフスを外す。

 すべての仕草をぼうっとしながら見てしまう美冬だ。

「あのなぁ……なんでそんな見るんだ?それなら、一緒に入るか?」
 美冬はハッとする。
 つい、つい見とれてしまったのだ。
「ご、ごめん」

 苦笑した槙野が襟元の緩んだ状態で歩いてきてベッドの横に腰掛ける。

「ん? そんな目で見られるのは全くもって嬉しいけどな? なんで、見てるんだ?」

 そう言って美冬の頬を撫でる。そんな仕草にも美冬は触れられた頬が熱くなってしまうのを感じた。
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