契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「いいですか? 男性がその状態になっていて我慢するって、すごいことです。それだけ美冬さんのことを大事にしてるってことですよ。そんな人がひどくするわけないでしょう。しっかり慣らしてもらって次はさせてあげてくださいね! 槙野さんならおそらくは経験もある程度おありなんだから、任せて大丈夫です」

 ──ある程度?いや?とても豊富なんでは……?

「あ……うん」
 普段はあまり熱くなることはない杉村が、そんな風に言うので、美冬はこくりと頷いたのだ。



 慣らしてもらってって言ってたわ。
 よく分かんないけど慣らしてってお願いすればしてもらえそうにも思う。
 杉村があれだけはっきり入る、と言うのだから入るのだ。おそらく、多分……きっと。

「美冬?」
「ふにゃっ!」
「なんだその返事……」

 名前を呼ばれて顔を上げると、お風呂上がりの槙野が腰タオルでバスルームから出てきたところだった。髪から落ちる雫をタオルでごしごし拭いている。

 上半身は裸の槙野のその綺麗な身体が目に飛び込んできて、美冬は動揺してしまったのだ。
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