契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 広い肩幅と適度に筋肉のついた腕、胸も厚すぎず腹筋は薄らと割れていて引き締まった腰にタオルが巻いてある。

 ものすごくセクシーだ。
「きゃー、なんでなんも着てないのっ!?」
「タオルは巻いてるだろうが!もういいからお前も浴びてこいっ」
 美冬は慌ててベッドを降りてバスルームに向かった。

 び……びっくりした。それは以前にも見たことはあるけれど、腕とか、胸とか……すっごく男の人だった。

 以前にちょっと見た時はシャツの隙間からだった。

 美冬はちらりと鏡を見る。今までじっくりと自分の身体を見たことはなかった。

 ミルヴェイユで服を作る時は美冬はスタッフに社長はスタイルいいですよね、と言われる。
 お世辞が含まれているにしても変なところはないはずだ。

 槙野があの格好で出てきたのだから、美冬もそれに準ずるべきだろうか……。

 シャワーを浴びた美冬は少しだけ迷ったけれど思い切って、タオルを巻いて部屋に戻った。
 電話をしていた槙野が目を軽く見開いたのを見て、バスルームに戻ろうとした美冬だ。

「それ、メモでも構わないからメールして俺に送っておいてもらえるか?」
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