契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 確かにこの人は狼のようだ。
 この眼に捕らえられたら動けない。
(んっ? 私、なんかまずいこと言った?)

 触れられた部分はその濡れている感触と濡れた音で美冬自身がどうなってしまっているかを感じさせる。
 ぬるぬるとした愛液の滑りを借りて、ぷっくりと膨らんだ芽にゆるゆると触れられる。

「んっ……あ!」
 指先で優しく触れるその感触に覚えがある。
「あ、まって……」

 待ってと言っても、ん?と甘く耳元に軽く吐息をかけるだけで、意地悪な程に止めてくれることはしない。

 粘着質なくちゅくちゅという音が部屋に響いて、恥ずかしくて、おかしくなりそうだ。さっき、何か思い出しかけたのに、それどころではなくなってしまった。

 容赦なくその敏感な一点を嬲り続けられることで、気づいたら、その感覚を美冬は追っていた。
「も……やだっ、だめ、だめっ……」

「ん? イきそ?」
 美冬がこくこくっと頷くと、深く耳元に囁かれる。
「イっていいよ」
 ぞくぞくっとした。そして、逆らえない感覚が美冬を絶頂へと持ち上げる。
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