契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「考え……て? んっ……」
「このドレスのまま犯したいって思ってたよ」
 やはり飼い慣らせるような狼なんかじゃなかった。その言葉は美冬の胸を高鳴らせる。

 乱暴なはずなのに、そうされたくもなってしまうのは、強引な槙野が瞳をキラキラとさせているのが抵抗できないくらいに魅力的だからだ。

「んっ……あ、そんなこと……言っちゃ、や」
「本当に? 興奮しない? 確認するぞ」

 射抜くような熱のこもった瞳で見つめられて、肌に触れられたら、蕩けそうだ。
 するりとスカートの中に入った手が美冬の足の間に触れる。

「濡れてる……」
「あ、や……」

「たまらない。すぐに入れたい」
「待っ……て、まだ……」
「まだ、何だ?準備できてない?」
 ぴっ……と下肢から聞こえるストッキングを破る音。

「本当に?」
 できてないなんて、言えない。
 それはウソだ。

 食事の時に手を繋いでいた時から、タクシーの中で指を絡められていた時から、玄関(ここ)で息もつかせないほどのキスをされていた時から、抱かれたかった。
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