契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした

23.ガールズ・コレクション

 そのメールを受け取った時、美冬は信じられなくて、もう一度、メールを確認してしまった。

 そして、目の前にいた杉村に声を掛ける。
「ね?これ……夢じゃないよね?」
「どうしたんです?」

 こういう時も冷静な杉村は助かる。
 血の気をなくしたような顔をしている美冬をちらりと見て、デスクのところまで来ると、杉村はパソコンの画面を覗いた。

「ガールズ・コレクションへのご招待? あら、しかもスペシャルゲスト枠じゃないですか。おめでとうございます、社長」

「やっぱり、夢じゃないのよね」
「引っぱたきます?」
「念のために叩いてみてくれる?」
「しませんよ、そんなこと」

 杉村の呆れたような冷たい目は夢ではない、現実のことだとハッキリ分からせてくれる。

「最先端とコンサバティブの融合、進化し続ける老舗ブランドであり、スペシャルゲストとして出演をご依頼したく……。よかったですね、社長」

 3月にティーンズ向けに行われているそのファッションショーは毎年会場を変えて行われている。

 今年は京都ということだった。
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