契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 スペシャルゲストとして招待されているのは二枠で、一枠は京都の着物生地を使ったブランドで、もう一枠がミルヴェイユだった。

「このコレクションって、ティーンズ向けかと思っていたのだけど」

「そうでもないですよ。ターゲットは10代から20代なんです。どちらかと言うとちょっと背伸びしたい高校生からお若いOLさんがターゲットですね」

 今までのミルヴェイユはキャリア層やセレブ層がターゲットだった。
 招待されたコレクションは普段のミルヴェイユとはターゲットが全く違う。

「ケイエムとのコラボ商品を出しましょう。その方が映えそうだわ。うちの商品は憧れブランドとして認識してもらえるようなショーにしたいわね」

「デザイン部と企画開発部に連携します」
「よろしくね」
 杉村に任せておけば大丈夫だということは分かりきっている。

 ガールズコレクションはとても華やかな舞台だ。
 プロのモデルにミルヴェイユの服を着てもらって、ライトの当たるランウェイを歩く……そんなことは美冬の中では想像したことがなかった。

 その喜びを美冬は噛み締める。
 大変なこともたくさんあった。
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