契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「うん! 本来ならターゲットではないからレギュラーではなくてスペシャルゲスト扱いなんだけど。でも、ケイエムコラボで注目してくれたんだと思うわ」

 嬉しそうに話す美冬を見て、つい、という感じで槙野は口角がきゅっと上がってしまっている。
「良かったな」

 実を言えば槙野にはその価値がよく分からない。

 けれども美冬がこれほどまでに嬉しそうなのだから、それは相当に良いことなのだろうと判断した。
 それに自分の愛する人がとても嬉しそうなのは幸せだ。

 今日のように、とても可愛いエプロン姿で出迎えてくれるのは、たまにのことなので槙野もテンションが上がる。

 茹で上がったパスタを手製のボンゴレビアンコのソースと混ぜながら、美冬はカウンターの向こうにいる槙野にパスタをお皿に乗せて渡した。

 槙野はテーブルセットしながら、他の惣菜を別の皿に盛り付けている。
 そんな槙野にキッチンから美冬は話しかけてくるのだ。

 なんでもないこんな日常が幸せなのである。
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