雨降り王子は、触りたい。



「あ、ありがと…」

「それとも俺が拭いてあげようか?」



へらりといつもの調子で笑う市川に、それまで呆然としていた私はハッとする。



「セ、セクハラ…!」



忘れてた、この人はチャラ男!!!



…だけどやっぱり、優しい。

それが女好きだからなのか、なんなのか、よくわかんないけど。

市川はかなり優しいし、気が利く。



それに比べて私は…



「…はぁ」



市川らしい落ち着いた色のタオルを濡れたスカートに当てながら、溜息を溢した。


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