雨降り王子は、触りたい。



「詳しく聞かせてよ?」

「そ、それはやだ」

「俺と絃ちゃんの仲じゃん〜」



市川が迫るように、目を細める。

…嘘ついちゃったからか、みんなの顔が見れない。



湿っているスカートに目線を落とすと─────その時。



「銀太、荷物取って」



三咲の声が響いた。


「へ?」

「俺、帰るわ。」



え…帰る?

私はそれまで俯き気味だった顔を勢いよく上げる。

あまりにも急なことに、のえるも和佳もドギマギしていて。

もちろん私も驚きを隠せない。


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