雨降り王子は、触りたい。



「………別に。」



三咲の表情はあからさまに暗くなった。

『初恋…ね』

そう言った時の顔と、リンクする。



────もしかすると三咲は、"初恋"の話が嫌で席を立ったのかもしれない。

初恋に苦い思い出があって。

それが体質が変わったことと何か関係ある……とか。



そんなことを勝手に想像すると。

────ずしっ。

心が急に重たくなった。

そんな心を誤魔化すように、私は笑顔を貼り付けた。



「そういや市川に聞いたけど、昔から仲良かったんだね」



すると、三咲の目がジロリと私を刺す。



「…もうチカの話はいいから。」

「え…」


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