雨降り王子は、触りたい。



「それダテなの!?」

「うん」



…知らなかった。

確かにそのレンズをよく見ると、真っ透明。
綺麗な瞳がそのまま透けて見える。

まじまじと覗き込むと、その瞳が私を映した。

ドキッ。

私は勢いよく目を逸らす。



「と、取ったらいいじゃん」



すると。

突然、三咲はずいっとこちらに顔を近付けた。



「!?」



急な三咲のドアップに声にならない声が出る。

な、なに!?

そんな私を気にも止めていない様子の三咲は、耳元でそっと口を開いた。


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