雨降り王子は、触りたい。
「涙出たときにバレにくくするためにしてんの。」
「…っ」
三咲、距離感おかしくなったの?
昨日といい、今といい…警戒心どこいった!?
ドキドキドキ。
シャンプーの匂いがするくらい近い距離に、心臓が飛び出てきそうなくらい暴れる。
そんな私に追い討ちをかけるのうに、あっかんべ、のポーズをする三咲。
…もー。
まだ私、昨日のことむかついてるはずなのに。
「もう、絃遅い!先帰るよ!?」
「あっ待って!」
和佳の声で我に返ると、私は荷物を抱えてうるさい心臓を押さえ込んだ。
「…三咲、サボっちゃダメだよ!」
去り際にそう言い捨てると、三咲はまた、べーと舌を出していた。