雨降り王子は、触りたい。



あいつも、そう。銀太と同じ人種。

見かけによらずちょっと暑苦しい。

冷たく接していた俺に、正面からぶつかってきた。



『…私、もう人を上面だけ見て決めつけない。だから三咲も私のこと、女だから苦手だって決めつけないで。』

あの日から俺は狂わされっぱなしだ。



ピーーーッ

ホイッスルの音が響き、一旦休憩。

結構汗をかいたから、まとわりつくシャツが鬱陶しい。



常設してあるベンチに座りタオルに顔を埋めると、隣で銀太の声がした。



「おー!のえるちゃん、試合してるっぽい!」

「お前よくわかったね」



ベンチからテニスコートまでは結構距離があって、誰が誰だか分かりにくい。

言われてみると、ふわふわのツインテールがぴょこぴょこと動いているように見える。

一瞬で見つけた銀太はすごい。

愛の力ってやつ?


< 164 / 451 >

この作品をシェア

pagetop