雨降り王子は、触りたい。
あいつも、そう。銀太と同じ人種。
見かけによらずちょっと暑苦しい。
冷たく接していた俺に、正面からぶつかってきた。
『…私、もう人を上面だけ見て決めつけない。だから三咲も私のこと、女だから苦手だって決めつけないで。』
あの日から俺は狂わされっぱなしだ。
ピーーーッ
ホイッスルの音が響き、一旦休憩。
結構汗をかいたから、まとわりつくシャツが鬱陶しい。
常設してあるベンチに座りタオルに顔を埋めると、隣で銀太の声がした。
「おー!のえるちゃん、試合してるっぽい!」
「お前よくわかったね」
ベンチからテニスコートまでは結構距離があって、誰が誰だか分かりにくい。
言われてみると、ふわふわのツインテールがぴょこぴょこと動いているように見える。
一瞬で見つけた銀太はすごい。
愛の力ってやつ?