雨降り王子は、触りたい。



「めっちゃわかりやすいじゃん!遠くからでも可愛いし!!」

「はいはい」

「相手は誰だろ…?」



銀太がそう言うものだからツインテールの相手に目をやると、それは誰だかすぐにわかった。

だけど銀太はいまいちピンとこない様子で。

痺れを切らした俺は口を開いた。



「…雨宮だろ。」



なんでわからないんだよ。
めちゃくちゃわかりやすいのに。



「あー、たしかに髪、赤い気がする。くくってるからわかんなかったわ」



銀太は納得したかと思うと、にやりと口角を上げた。



「お前こそ、よくわかったね」



そう言った銀太にカッと顔が熱くなる。

ズレたメガネを直す仕草をしたけれど、そこにメガネはなかった。


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