雨降り王子は、触りたい。
「和佳ぁ、どう思う!?」
「そりゃあ、理想そのものの人なんてなかなかいないでしょ」
食べることに苦戦をしている私とは裏腹に、和佳とのえるは食べ進める手も喋る口も止まらない。
「じゃあのえるにはいつ彼氏できるのぉ〜」
「のえるが素直になったらすぐできるじゃん」
「…だから、銀太くんはなしだって!」
むぅ、と膨れっ面になるのえる。
なんか、可愛いな。
杉山の話をしている時ののえるはいつも以上に可愛い気がする。
なんでだろう、表情がくるくる変わるからかな。
「絃はどうなの?」
「ごふっ」
思わぬタイミングで話を振られた私は、驚いた勢いで口いっぱいのパンケーキを飲み込んでしまった。
急いでアイスティーを流し込む。