雨降り王子は、触りたい。
「ど、どうって……何が?」
「三咲くん」
すっかりカラになったお皿を横に、和佳は頬杖を付いてこちらに目をやった。
なんだかその表情は全てを見透かしているようで。
私は逃げるようにもう一度ストローを咥えた。
…もしこのまま行動しなくて。
三咲に彼女ができちゃったりしたら、私はどうなるんだろう…なんて。
そんなの、苦しくなるに決まってる。
さっきからずっと、三咲のことが頭に浮かぶたび打ち消すようにパンケーキを口に押し込んで。
素直な気持ちを言えない、言い訳にしていた。