雨降り王子は、触りたい。
「三咲たち、この辺で何か食べたらそのあとはカラオケって流れじゃない?」
黙ったままの私に、和佳はニヤリと笑ってそう言った。
素直になったって、行動したって、思った通りになるとは限らない。
だけど、慣れないナイフでパンケーキをつついてるのは私らしくないのかもしれない。
「カラオケ、行こ!!!」
◇
店を出ると、強い日差しが私たちを出迎えた。
勢いで店を出たものの、まるで無計画。
三咲に会ったところでどうしたらいいかもわからないし、そもそも会えるかわからない。
だけど気持ちを自覚してしまうと、ソワソワして。
パンケーキどころではなくなってしまったんだ。