雨降り王子は、触りたい。
「びっくりした、ほんと」
「ごめん…なんかもうキツすぎて」
「無理するからじゃん、ばーか。」
「ほんとそれ。らしくないことはするもんじゃないわ。」
いつもの感じで会話が弾む。
それだけでなんだか胸がいっぱいになる。
さっきまでの鉛色の気持ちがスーッと溶けていくような、そんな感覚だ。
…本当に嫌だったんだな、私。
三咲が知らない女の人といるのが。
ぐいっと傾けたペットボトルから口を離すと、三咲は小さく言った。
「…この前、冷たく言ってごめん。」