雨降り王子は、触りたい。
俺は頭の中を整理しようと天を見上げるけれど、もちろんチカは待ってくれない。
小さく言葉が紡がれる。
『…嫉妬したらさ。体質なおそうって考えてくれるかなって。』
「…え」
『留衣、こうでもしないと向き合ってくれないでしょ?』
チカの言葉がスッと真っ直ぐ、鼓膜に触れる。
その表情は見えないけれど、きっと眉を下げて心配そうな顔、してると思う。
『それだと俺も困るんだよ…』
チカは優しいから。
本当にずっと俺の体質のことで、責任を感じていたんだ。
響いたか細い声に、ぎゅっと心臓を掴まれたような感覚がした。