雨降り王子は、触りたい。
「な、お前…!」
男はこちらへ振り返って。
私がギュッと、ハサミを持つ力を強めた…その時。
「えっ」
─────三咲が、私の腕を掴んだ。
突然のことに、私は目を丸くする。
驚く私に構うことなく、三咲はそのまま腕を引き寄せて。
力の入らなくなった私の手から抜け出したハサミは、カツンッと地面に落っこちた。
「ちょ、」
カァッと顔に熱が集まるのを感じる。
なんで熱くなるのかって、それは三咲の体と私の腕がぴったりとくっついているから。
……なに!?
こんがらがる脳内。
しかし。今は考える時間すらないらしい。