雨降り王子は、触りたい。



ムカつく奴だけど、涙なんて見てしまったらさすがに…ね。
気になってしまうし、心配だと思ってしまう。

ぎゅうっと、締め付けられるような、ざわざわと、落ち着きのないような。

言い表すことのできない感情が胸を渦巻く。



ぶつかったのが、そんなに痛かった?
それとも何かあったのかな。

…泣くほどのことって、何?



下駄箱にたどり着くと、ローファーを地面に落とす。
するとふいに、脳裏に和佳の言葉が思い浮かんだ。


『三咲ね、女嫌いらしいよ。』


私が原因………?



『それも、かなりの。』


いやいや、そんなまさか。


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