雨降り王子は、触りたい。



ドキドキドキ…

忙しない心臓をぎゅっと押し込むように、鞄に荷物を詰めていく。

すると、



「絃〜」



ぽんっと肩を叩かれた。

チラリと見える、長い爪。

振り返ると、そこには歯を見せて笑う和佳がいた。



「今日、楽しんできなよっ」



─────昼休み、和佳とのえるに、放課後三咲とカフェに行くことを話した。

前に約束をしていた時は、自分が男子と2人で…っていうのが恥ずかしくて、話せなくて。

なんやかんやあってみんなで抹茶パフェを食べる流れになってしまった。



「うん、ありがと」



今回はそういうわけにはいかない。

だって…三咲と2人がいいなって思うから。


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