雨降り王子は、触りたい。



びっくりした………

飛び出そうな心臓を、なんとか押さえ込んで前を向くと。

そこには自分たちとは違う制服に身を包む、可愛らしい女の子が仁王立ちしていた。



優しい目元に、アヒル口。

なんか、どこかで見たことあるような……。

少し考えると、すぐに答えは見つかった。

……もしかして。



「店員さん…?」



にこり。向けられた笑顔が、昨日ラヴ・アラモードで声を掛けられた時のものと完全に一致する。

ゆったりしたシルエットのクリーム色のカーディガンが女の子らしくて、昨日の記憶通りラブリーなルックス。

そんな店員さんは袖から人差し指を出し、唇の下に当てた。


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