雨降り王子は、触りたい。
私は恐る恐るコーラにストローを刺すと、彼女はアイスティーの蓋を開けた。
そしてミルクとシロップを2つずつ入れ、空になった容器をきちんと重ねる。
店員さんは見かけ通り、仕草や喋り方が女子〜!って感じ。
アップルパイとミルクティーって。
頼んだものも、かわいいし。
私は目の前のLサイズのコーラを視界に入れ、苦笑いした。
「ごめんなさい、自己紹介が遅れて。私、牧田萌絵って言います!」
「私は…雨宮絃、です」
「絃ちゃんね!私のことは萌絵とか、なんとでも呼んでね」
やっぱり……かわいい。
ゆるく巻かれたダークブラウンの髪、ストローを持つ桜色のネイルが施された指先、キラキラ光る小ぶりなピアス。
それに、えくぼがくっきりと浮かび上がる笑顔。
"女の子"を凝縮したような、そんな感じ。
だけど─────なんか。
なんか、違和感を感じるというか。